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沖縄伝統島野菜 No.001 クワンソウ(アキノワスレグサ)
医食同源の思想
沖縄では『クワンソウを食べると良く眠れる」という伝承が広く長く伝えられ、多くの屋敷にクワンソウが植えられていました。県内高齢者に聞き取り調査をし実施した際、眠れなくて辛そうな時、元気がないとき、イライラしているとき、風邪を引いているとき、豚肉とクワンソウの葉や白茎を一緒に煮込んで食べさせた(食べさせてもらった)という声が集まりました。クワンソウの記憶を語るとき、家族の愛情が甦る時間でもありました。
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●沖縄での名称:クワンソウ
・沖縄本島:クヮンソウ、クワンゾウ、カンジョー
・八重山諸島:ニーブイグサ(眠り草)、パンソー、ニーブイカンゾー
・宮古諸島:シファンツァ●和名:アキノワスレグサ(秋の忘れ草) 別名:トキワカンゾウ(常葉萱草)
●学名:Hemerocallis fulva L.var sempervirens M. Hotta
●英名:DayLillie
●科名・属名:ユリ科ワスレグサ属(キスゲ属)
●分布:沖縄を中心とした南西諸島
歴史の中のクワンソウ
海外からの国賓をもてなす「歓待料理」に食材として使用
遥か昔、海外との交易で栄えていた琉球にとって、新国王即位時に訪れる中国皇帝の使者「冊封使」をもてなす行事は、外交と経済にかかわる重大な国家イベント。国の威信をかけ、贅を尽くした料理でもてなしました。その素材にクワンソウが使われた記録が残っています。
冊封使歓待料理は五段二十椀の料理で構成。クワンソウは二の段の「鹿のアキレス腱」の料理に使用。
●再現料理:沖縄調理師専門学校 安次富順子先生・田淵光先生 2000年
●画像出展:琉球文化アーカイブ(沖縄県)
参考文献:『琉球冊封使一件』(1808年) 『琉球冠船記録』(1866年)
琉球食療法の指導書「御膳本草」に掲載
琉球王府に仕える医師・渡嘉敷親雲上*通寛(とかしきペーチンつうかん)が、王の命を受けて北京に学び、帰国後にした琉球食療法の指導書『御膳本草(ごぜんほんぞう)』(1832年)には、琉球の伝統食についてその効能と喰いあわせ、性質や料理法が記されており、クワンソウも掲載されています。*親雲上(ペーチン)は琉球王国の氏族の称号の一つ
←ハワイ大学蔵
↑復刻版 編集発行:當間清弘(首里三ツ星印刷1963年)がらまんじゃく蔵
出展:御膳本草(毛姓本)University of Hawaii at Manoa Library 蔵